Synergistic Metropolis
本作品は、哲学者・美学者である川野洋の作品や制作手法に着想を得て制作しています。本作ではComfyUI(生成AI)とTouchDesignerを用いたアルゴリズムによって映像を生成しています。画像生成やアニメーションの計算はコンピューターによって自動的に行われますが、そのプロセスを設計し、流れを選択するのは人間です。本作では、川野が当時すでに人工知能的な思考を取り入れていた点にも注目し、現代におけるAIとの協働的な制作プロセスを探求しています。 映像には、東京の夜景の写真を使用しています。絶えず光と情報が流れ続ける東京の夜景は、都市そのものが巨大なインターフェースのようにも見えます。私はその風景をAIに読み込ませ、再生成された映像にさらにTouchDesignerでジェネレーティブなアニメーションを重ねることで、都市のリズムや知覚の揺らぎを可視化しようと試みました。 また、本作品はピート・モンドリアンの「Broadway Boogie Woogie」からも影響を受けています。モンドリアンがニューヨークの都市の活気やリズムを抽象化したように、本作では東京の夜景を出発点に、現代都市に流れる膨大な情報や光の運動を、AIによる生成とアルゴリズムによって再構築しています。静止している部分と絶えず変化する部分が共存することで、都市特有の不安定なリズムや、見ることの速度そのものを映像化しています。 東京という街では、広告やサイネージ、無数のイメージが日常的に視界を覆っています。本作では、その都市の表面を構成する光や情報をあえて変形・再生成することで、見慣れた東京の風景に新しい知覚の余白を生み出そうとしています。普段は「情報を伝えるための表面」として存在するサイネージを、一瞬でも「感じるための表面」へと変換し、鑑賞者が都市との関係を見つめ直すきっかけとなることを目指しています。 制作過程では、シミュレーションの多くをコンピューターへ委ねながらも、そのシステムを構築し、結果を選択する行為には常に人間の判断が介在していることを改めて実感しました。テクノロジーと人間は、無機的/有機的という対立関係ではなく、互いに影響を与え合う存在です。本作は、東京という都市空間を通して、その曖昧で不可分な関係性を映し出そうとする試みでもあります。
- Artist
- Saeko Ehara
- neort.io
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