SCREENS ARTby NEORT

Daily Narratives

Saeko Ehara

「Daily Narratives」は、「dialog(対話)」という行為から着想を得た作品です。東京で私自身がスマートフォンで撮影した日常風景の写真をもとに、Stable Diffusion(生成AI)によって映像として再生成し、さらにTouchDesignerを用いてジェネレーティブにアニメーションを行っています。 東京という都市は、膨大な情報とイメージが絶えず流れ続ける場所です。その速度の中で、私たちは日常の小さな変化や、ふとした感覚を見過ごしてしまうことがあります。本作では、通り過ぎてしまう日常の断片をあえて再生成し、変形させることで、見慣れた風景をもう一度見つめ直すための小さな「間」を生み出そうとしています。 この作品の出発点には、ChatGPTとの対話があります。私は、自身の原点である絵画に立ち返り、歴史上の画家たちがどのように「対話」を作品へ取り込んできたのかをAIと共にリサーチしました。その過程で、ヴィルヘルム・ハンマースホイの静かな室内画に深く共鳴しました。彼はコペンハーゲンの自宅アパートを繰り返し描きましたが、そこには日常空間を通して、見ることそのものを問い直すような静けさがあります。 私にとって東京の日常風景もまた、絶えず対話が生まれる場所です。しかし、AIによって再生成された映像は、私自身の記録でありながら、次第に「誰かの記憶」のように変化していきます。現実と生成、個人的な記録と匿名的なイメージの境界は曖昧になり、都市の中で共有される感覚へと接続されていきます。 普段、サイネージは情報や広告を届けるための表面として機能しています。本作では、その表面を一時的に「感じるための場所」へと変換することを試みます。流れ続ける都市のイメージの中で、鑑賞者が一瞬立ち止まり、自身の日常や記憶と静かに向き合うきっかけとなることを目指しています。

作家
Saeko Ehara
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